なぜ日本のゲームスタートアップに、海外マネーは流れ込まないのか


日本のゲームやキャラクターは世界中で支持され、大きな収益を生み出しています。政府もコンテンツ産業を成長戦略の柱に位置づけ、支援を拡大しています。
その一方で、次のヒット作を生み出すことが期待されるゲームスタートアップには、海外からの投資資金がほとんど流入していません。海外のゲーム特化VCは、韓国、インド、シンガポールなどアジア各国に投資実績があるものの、日本への投資は限られています。
EnFiは、世界各国のゲーム特化VCに出資し、海外のゲーム投資家との対話を重ねてきました。本稿では、こうした経験と公開データをもとに、海外資金が日本のゲームスタートアップに届きにくい3つの要因を整理し、スタートアップの育成と海外投資家への接続を一体で進める必要性を提言します。
外貨を稼ぐ産業としてのゲーム
経済産業省によると、日本のコンテンツの海外売上は2023年に約5.8兆円に達し、この10年で約3倍に拡大しました(2025年)。その規模は半導体や鉄鋼の輸出額を上回り、自動車に次ぐ水準です。2024年には約6.0兆円に増加しています(内閣府、2025年)。政府は2033年までにこれを20兆円に拡大する目標を掲げており、2026年5月には自民党の文化立国調査会が、コンテンツ産業の振興に向けた予算措置を今後5年間で計5,000億円以上に拡大するよう求める提言案をまとめました(共同通信、2026)。
なかでもゲームは、外貨獲得という点で独自の強みを持っています。アニメや映画は海外で人気を得ても、収益の多くが海外の配給会社やプラットフォームに流れる場合があります。一方、ゲームは海外売上のうち日本側が実際に受け取る収入の割合が比較的大きく、海外で得た収益が日本企業に還元されやすい分野です。つまり、ゲームは日本にとって外貨獲得力の高い産業だと言えます。
ただし、この日本の強みは既存の大手ゲーム会社の成長だけで維持できるとは限りません。近年、世界的なヒット作は、大手よりもインディークリエイターやスタートアップから生まれる例が増えています。EnFiの代表パートナーの垣屋が2024年にモデレーターを務めたパネルディスカッションでも、大手ゲーム会社自身が新しいIPを得るために小規模なスタジオを買収する動きにも触れています(参照)。次のヒットを生むスタートアップが育つことは、日本のゲーム産業全体が成長を続けるための大事な要素です。
その成長を支えるのが、外部からの資金です。ゲーム開発は、ローンチまでに多額の開発費を投じる必要がある一方でヒットの有無によって売上が大きく左右されます。世界市場を見据えた規模の開発を自己資金だけで賄うことは難しく、成長段階に応じた出資が必要になります。
そして、ゲームは最初から世界市場を前提とする産業です。日本のゲームスタートアップが世界で成長するには、資金に加えて、海外市場を知る投資家のネットワークや知見が欠かせません。経済産業省も、グローバルに活躍するスタートアップを生み出すには、投資金額が大きく、グローバルなネットワークを持つ海外投資家からの投資を拡大する必要があるとしています(経済産業省、2025)。
しかし現状では、そうした海外投資家の資金と知見が、日本のゲームスタートアップにほとんど届いていません。
国内資金に偏る日本のスタートアップ投資
海外資金がスタートアップに流入しないという課題は、ゲーム業界に限ったものではありません。経済産業省は2025年12月の資料で、日本のスタートアップ・エコシステムを「国内に閉じている」と表現しています。

日本のVCファンドに出資する投資家のうち、海外投資家が占める割合は出資者数ベースで約1%にとどまります(経済産業省、2025)。同じ基準で見ると、VCファンドの出資者に占める海外投資家の割合は、シンガポールで92%、英国で61%、米国で12%、韓国で3%であり、日本はいずれの国よりも低い水準です。また、スタートアップへの直接投資に占める海外投資家の割合も、投資額ベースで約8%(2024年)にとどまっています。
投資資金の総量にも大きな課題があります。政府は2022年11月に決定した「スタートアップ育成5か年計画」で、当時8,000億円規模だったスタートアップへの投資額を、2027年度に10兆円規模へと10倍に拡大する目標を掲げています。しかし、2025年の国内スタートアップの資金調達額は7,613億円にとどまり(スピーダ、2026年)、計画策定時から増えていないばかりか、目標の10分の1にも届いていません。海外VCからの資金調達額も、前年に比べて123億円減少しました。
こうした状況を踏まえると、国内資金だけで目標との差を埋めることは容易ではありません。日本のスタートアップを大きく育てるには、海外投資家の資金に加え、そのネットワークや知見を取り込むことが欠かせません。
ゲーム分野における海外からの投資の現状
ゲーム分野に絞っても、同様の傾向が見られます。EnFiが海外の主要なゲーム特化VCの公開投資実績を確認したところ、日本への投資は非常に限られていました(表1)。これはEnFiが海外のゲーム特化VCから受け取っている非公開情報でも同じ傾向です。
表1:海外ゲーム特化VCの対日投資は限定的
VC | 日本の投資先(公開情報) | アジアの主な投資先 |
0社 | インド、韓国 | |
BITKRAFT(米国・欧州) | 1社(PlayBrain:2019年シード、2020年シリーズAを主導) | 韓国、シンガポール、ベトナム |
Konvoy(米国) | 投資対象地域に日本の記載なし | インド、韓国、東南アジア(投資対象地域) |
Makers Fund(米国) | 6社(うちゲームスタジオは1社) | — |
出典:各社公開情報、Dealroom、スピーダ等をもとにEnFi作成(2026年10月時点)
海外のゲーム特化VCが、アジア市場に関心を持っていないわけではありません。韓国、インド、シンガポール、ベトナムなどへの投資実績がある一方で、日本への投資は限定的です。
数少ない投資事例を詳しく見ると、その背景が見えてきます。日本のユニコーン企業の一つであるゲーム企業Playcoは(経済産業省、2025)、2020年にセコイアなどの海外投資家から約100億円を調達しました(スピーダ)。ただし同社は、Zyngaの共同創業者であるJustin Waldron氏らが設立した企業で、親会社は米国デラウェア州で設立されており、東京では日本法人のPlayco Japanが事業を担っています。また、BITKRAFTの日本での投資先であるPlayBrainも、2016年にオーストラリア出身のMichael Sheetal氏が東京で創業しました(Esports Insider、2019)。
こうした事例から見えてくるのは、海外投資家と日本のゲームスタートアップをつなぐ「人」と「ネットワーク」の重要性です。裏を返せば、海外投資家との接点を持たない日本のゲームスタートアップにとって、海外資金へのアクセスは依然として難しい状況にあると言えます。
対照的に、日本から海外への投資は比較的活発です。ソニー、スクウェア・エニックス、バンダイナムコ、MIXI、GREE、サイバーエージェントなどの大手企業は、米国、インド、欧州、ベトナムのゲームスタートアップに出資しています。つまり、ゲーム分野の投資資金は日本から海外へは流れている一方、海外から日本への流入は非常に限られているのです。
海外資金が届かない3つの要因
海外からの投資を呼び込むには、主に3つの条件が必要です。1)海外投資家が日本の投資案件を見つけ、実際に投資できる環境があること、2)日本の企業側に外部からの出資を受け入れる意欲と体制があること、そして、3)両者を結びつける仲介者が存在することです。
日本のゲーム分野では、これらの条件がいずれも十分に整っているとは言えません。
1. 海外投資家にとっての参入障壁
海外投資家にとって日本は、情報へのアクセスと制度面において高い参入障壁あります。
情報面では、日本のゲームスタートアップに関する情報の多くが日本語で発信されています。
経営者とのコミュニケーションや契約交渉も日本語が中心です。VCは通常、既存のネットワークや英語で発信される情報を通じて投資案件を発掘するため、日本の有望な企業は海外投資家の目に留まりにくくなります。特に東京以外の地域では、海外に情報を届ける機会がさらに限られます。
PlaycoやPlayBrainは、創業者自身が海外とのネットワークを持ち、英語での発信を行い、こうした言語や情報の壁を最初から越えていた例だと言えます。
制度面では、日本の税制が海外投資家にとって負担となる場合があります。
海外投資家が日本のVCファンドやスタートアップに出資して得たキャピタルゲインは、通常日本で課税されます(金融庁、2025)。一方、米国、英国、シンガポールでは、海外投資家が国内ファンドを通じて得た所得は通常非課税とされています。
2024年には福岡や大阪などが「金融・資産運用特区」に指定されましたが、措置の中心は英語での行政手続きや在留資格の整備などであり、海外投資家の投資利益を非課税にする優遇措置は含まれていません。
日本のVCファンドの出資者に占める海外投資家の割合が出資者数ベースで約1%にとどまっている背景には、こうした制度上の負担もあると考えられます。
2. 外部資本を必要としにくい業界構造
日本のゲーム業界には、独自のビジネスモデルによって外部資本を必要としにくい構造もあります。
具体的には、国内市場の大きさ、成熟した受託開発市場、資金調達の慣行などの要因があります。
まず市場の面では、日本は世界第3位の国内ゲーム市場であり、国内フォーカスで事業を展開しても十分に上場レベルの売上と利益を目指せるということがあります。
2024年の国内ゲームコンテンツ市場は2兆3,961億円で、世界市場(31兆42億円)の約8%を占めます(角川アスキー総合研究所「ファミ通ゲーム白書2025」、2025年)。国別では米国、中国に次ぐ世界第3位の規模とされ(Señal News、2024)、国内のゲーム人口も約5,475万人に上ります。
国内市場だけでも事業が成立するため、世界展開を前提とした大規模な成長資金を外部から調達する必要性は、相対的に低くなります。一方、海外のゲーム特化VCは、世界市場での成長可能性を重視して投資判断を行います。
そのため、国内市場を主戦場とする企業とは、成長戦略や投資に対する考え方がかみ合いにくい場合があります。
次に日本独特の受託文化が与える影響です。
日本には大手に限らず豊富な経験を持つゲーム開発人材が存在する一方で、その多くが国内の大手ゲーム会社からの受託開発を担ってきました。受託開発によって安定的な収益を確保し、その利益を自社開発に充てる事業モデルが日本のゲーム業界の成長とともに確立されました。
このような環境下では、外部のVCから資金を調達する必要性が相対的に低くなります。
さらに資金調達の慣行として、株式による資金調達が一般的ではないという点もあります。
日本のゲーム業界では、個別の開発プロジェクトに資金を提供するプロジェクトファイナンスが重要な役割を果たしてきました。この点は、EnFiが2024年に行ったパネルディスカッションでも議論されています(参照)。
一方、海外のゲーム特化VCは、企業そのものに株式で出資し、企業価値の成長によってリターンを得ることを基本としています。日本のゲームスタジオがプロジェクト単位で資金を集める一方で、海外のゲーム特化VCは会社単位で投資するという仕組みの違いも、双方の接点を生みにくくしている要因の一つと言えます。
3. 日本と海外をつなぐ投資家の不在
日本のゲームスタートアップが海外のゲーム特化VCの投資対象として認識されにくい背景には、両者をつなぐ国内のVCや投資家などの仲介役が不足していることも挙げられます。
VCが新たな国に投資する際には、現地の市場環境や有望な企業に詳しい投資家と共同投資を行うケースもあります。現地の投資家が案件の発掘や投資後の支援を担うことで、海外VCも、十分な知見を持たない市場への投資を検討しやすくなります。
日本には独立系のゲーム特化ファンドがEnFi以外に存在せず、ゲーム分野の投資の担い手は大手ゲーム会社のCVCが中心です。CVCの投資は本業との事業上の相乗効果を重視するため、海外投資家とともに日本のスタートアップを育てる仲介役にはなりにくい面があります。
また、日本のセクターフォーカスではないVCファンドは、主に国内投資家からの出資によって成り立っているケースが殆どです。経済産業省によると、日本のVCファンドへの資金供給の割合は、事業会社が約30%、銀行・保険会社などが約30%です(2022年)。米国では年金基金などが約60%を占めており(2020年)、対照的な構成となっています。また、出資者数ベースで見ると、日本のVCファンドの出資者に占める海外投資家は約1%にとどまります。
出資者が国内に偏るファンドでは、ファンド運営者が海外投資家と継続的な関係を築く機会も限られやすくなります。
つまり、日本のゲームスタートアップと海外投資家を継続的につなぐ仕組みが、まだ十分に整っていない結果、有望なインディーゲームスタジオが存在しても、海外投資家に紹介され、投資につながる機会が生まれにくい状況が続いています。
ゲーム投資先としての日本の潜在力
ここまで海外の資金が日本のゲームスタートアップに届くまでの経路に関する課題を説明してきましたが、ゲーム投資の観点から見ると、日本のゲーム産業には、海外投資家にとって有望な条件がそろっています。
1. IPを生み出す文化的な土壌
日本のゲームクリエイターの多くは、ゲーム、アニメ、マンガが日常に根づいた環境で育ち、物語やキャラクターを生み出す感覚を自然に身につけています。国民全体が日本のIPに囲まれて育ってきたという文化的な土壌は、新しいIPを生み出すうえで、日本ならではの大きな強みです。
それを証明するように、日本のゲーム開発の水準は国際的に高く評価されています。日本のゲームからは、任天堂の『スーパーマリオブラザーズ』をはじめ、『ポケットモンスター』、スクウェア・エニックスの『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』、カプコンの『ストリートファイター』『バイオハザード』、セガの『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、バンダイナムコの『パックマン』など、世界的なヒットIPが数多く生まれています。
そして近年も、日本で開発されたゲームは世界的な評価を受けています。2024年のThe Game Awardsでは、ゲーム・オブ・ザ・イヤーにノミネートされた6作品のうち4作品が日本のスタジオによる作品でした(『ASTRO BOT』『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』『ファイナルファンタジーVII リバース』『メタファー:リファンタジオ』)。受賞したのは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの日本のスタジオTeam Asobiが手がけた『ASTRO BOT』です。米国のD.I.C.E. Awardsでも、フロム・ソフトウェアの『ELDEN RING』がゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
2. 優れた開発者とクリエイターの層の厚さ
こうした作品を生み出す中で、国内には、世界水準のゲーム開発経験とIP開発の経験を持つ人材が蓄積されています。
しかも、その人材は比較的流動的です。コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の調査では、ゲーム開発者の55.2%が転職を経験しており、業界の人材流動性は高いとされています。大手で経験を積んだ開発者やクリエイターが独立し、新たなスタジオを立ち上げるケースもあります。
海外のゲーム特化VCにとって有力な投資対象となり得る実績ある人材が日本には存在すると言えます。
3. 投資コストの低さ
2026年10月時点の為替相場は1ドル=約157円の水準にあり、外貨建てで見ると、日本のゲームスタジオへの出資や開発チームの人件費は割安になっています。
このように、日本のゲーム産業は、IPを生み出す土壌、開発者とクリエイターの層の厚さ、投資コストの面から、海外投資家にとって有望な投資先となり得ます。
AIがもたらすゲーム開発の変化
日本のゲーム産業が持つこうした強みは、AIによるゲーム開発の変化によって、さらに生かしやすくなりつつあります。
AIの活用により、ゲーム開発に必要な人員やコストは下がると言われています。GameFounders共同創業者のKadri Härma氏も、EnFiのインタビューで、AIによってゲーム開発はかつてなく取り組みやすくなったと指摘しています。従来は大規模なチームと資金がなければ難しかった品質のゲームを、小規模なチームでも開発できる可能性が広がっています。
開発が容易になると、競争力の源泉は「どれだけ大規模に作れるか」から「何を作るか」へと移ります。
同氏は、AIが開発を効率化しても、優れたスタジオを分けるのは創造性だと述べています。物語やキャラクターを生み出す力、すなわちIP創出力の重要性が相対的に高まるということです。これは、IPを生み出す文化的な土壌を持つ日本のゲーム産業にとって有利な変化です。
AIを活用したゲーム開発は、前述した日本のゲーム業界の事業構造にも影響を与え得ます。これまで日本の小規模スタジオの多くは、自社IPを開発するだけの資金と人員を確保しにくく、大手からの受託開発を収益の柱としてきました。開発コストが下がれば、小規模なチームでも自社IPの開発に挑戦しやすくなります。自社IPゲームで、世界市場での成長を目指すスタジオは、海外のゲーム特化VCにとって投資対象となり得る企業です。
ただし、開発が容易になっても、成長に必要な資金やノウハウが不要になるわけではありません。
開発できるゲームが増えるほど、市場で見つけてもらうことは難しくなります。同氏も、課題の中心は開発そのものから、市場への投入戦略やコミュニティの構築、プレイヤーへのリーチへと移っていると指摘しています。世界市場でのローンチやユーザー獲得には、引き続き資金と、海外市場を知る投資家のネットワークが必要です。
AIによって日本の創造力のあるゲームスタートアップの成長機会はより広がると言えます。しかし、その機会を生かすには、海外の資金と知見にアクセスできる仕組みが欠かせません。
育成と接続を一体で進める必要性
前述の3つの課題は、それぞれ異なる側面を持っていますが、個別に対処するだけでは十分な効果が期待できません。
例えば、有望な企業の情報を英語で発信しても、企業側に経営管理や資本政策など株式出資を受け入れる知識と体制が整っていなければ、投資にはつながりません。反対に、企業側が外部からの出資を求めていても、海外投資家との接点がなければ資金調達は難しいままです。
そのため、スタートアップを育成する仕組みと、海外投資家につなぐ仕組みを一体で整備する必要があります。
その有効な手段の一つが、インキュベーションとアクセラレーターです。インキュベーションは起業家の事業立ち上げを支援する取り組みであり、アクセラレーターは専門家によるメンタリングや投資家とのネットワークを通じて、スタートアップの成長を短期間で後押しするプログラムです。
アクセラレーターは、前述の3つの課題、すなわち「海外投資家にとっての参入障壁」「外部資本を必要としにくい事業構造」「日本と海外をつなぐ投資家の不在」のそれぞれに働きかけることができます。
第一に、外部資本を必要としにくい事業構造に対しては、参加企業が株式出資を受け入れられる経営体制や、世界展開を見据えた事業計画を整えることで、外部資本を活用した成長に向けた準備が進みます。
第二に、海外投資家にとっての参入障壁に対しては、プログラムを英語で運営し、海外投資家やメンターを招くことで、言語や情報の壁を越えて、日本のスタートアップが海外投資家と接点を持つ機会を増やせます。
第三に、日本と海外をつなぐ投資家の不在に対しては、プログラムを継続的に運営することで、国内のスタートアップと海外投資家をつなぐネットワークが形成され、仲介機能そのものを担うことができます。
こうした取り組みの可能性は、海外の事例からもうかがえます。2026年7月にEnFiが公開した記事では、GameFounders共同創業者のKadri Härma氏が、通常であれば10〜15年かかる業界知識や世界のネットワークへのアクセスを、アクセラレーターが短期間で提供できると述べています。
同氏によると、GameFoundersのエストニアのファンドは6.5倍のリターンを達成しており、スタートアップの育成支援が投資家に経済的リターンをもたらす可能性も示唆しています。
海外から日本へ EnFiが日本で始めること
EnFiは、国内唯一の独立系ゲーム特化ファンドとして、海外のゲーム・エンターテインメント分野に特化した投資家とのネットワークを強みとしています。
これまで築いてきた海外ゲーム特化VCやエンタメバックグラウンドを持つ投資家との関係を活かし、日本のゲームスタートアップが世界の資金や人材にアクセスできる環境づくりを目指しています。
具体的には、ゲーム分野のスタートアップ育成支援と、海外投資家からの出資を促す仕組みを組み合わせる構想を進めています。日本のゲーム産業が持つIP創出力と、AIを活用した新たな開発手法を組み合わせ、日本のゲームスタートアップが世界市場に挑戦できる環境を整えていきます。
一環として、2026年7月に開催された地域未来議員連盟の設立総会では、EnFi代表の垣屋が登壇し、「ゲーム×AIアクセラレーター」の構想について紹介しました(参照)。
今後も、政府、自治体、地域企業、国内外の投資家など、さまざまな関係者との連携を進めていきます。
結び
日本のゲームは世界で高く評価され、外貨を稼ぐ産業として日本経済に大きく貢献しています。それにもかかわらず、次のヒット作を生み出す可能性を持つゲームスタートアップには、海外資金が十分に届いていません。
その背景には、投資先としての潜在力を持つゲームスタートアップを発掘・育成し、海外投資家につなぐ仕組みが、まだ十分に整っていないという課題があります。
政府によるコンテンツ産業への支援拡大は、こうした環境を改善する大きな契機となり得ます。
しかし、補助金や公的予算だけで持続的な成長を実現することは困難です。国内外の民間資金が継続的に流入し、次の成長につながる仕組みを構築する必要があります。
EnFiは、世界のゲーム投資家とのネットワークを活かし、日本のゲームスタートアップと海外資金をつなぐ仕組みを、関係各所とともにつくっていきます。
出典
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2. 内閣府「クールジャパン関連分野の外国人消費額調査」(調査実施:Vpon JAPAN株式会社、2025年) https://www.cao.go.jp/cool_japan/report/000127553.pdf
3. 共同通信「自民、コンテンツ予算倍増を提言 『文化省』創設も」(2026年5月27日) https://news.yahoo.co.jp/articles/1a28967f93b1b27dfd531d46e6a4ac3d4985bfad
4. 経済産業省「スタートアップ政策について」(2025年2月) https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/innovation/pdf/006_05_00.pdf
5. 経済産業省「スタートアップ・エコシステムの現状と経済産業省の取り組みについて」(2025年12月、金融庁ラウンドテーブル資料) https://www.fsa.go.jp/policy/pjlamc/roundtable/01.pdf
6. 内閣府「後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨」(2022年11月28日) https://www.cao.go.jp/minister/2210_s_goto/kaiken/20221128kaiken.html
7. スピーダ「Japan Startup Finance 2025」(2026年) https://initial.inc/articles/japan-startup-finance-2025
8. Dealroom「Griffin Gaming Partners」 https://dealroom.launchvic.org/companies/griffin_gaming_partners
9. TechCrunch「Bitkraft raises $275M for games production」(2024年4月) https://techcrunch.com/2024/04/04/bitkraft-raises-275m-for-games-production/
10. Esports Insider「PlayBrain secures $1.9 million investment from BITKRAFT Esports Ventures」(2019年2月) https://esportsinsider.com/2019/02/playbrain-secures-1-9-million-investment-from-bitkraft-esports-ventures/
11. Waveup「Konvoy Ventures」 https://hub.waveup.com/funds/konvoy-ventures
12. スピーダ「Makers Fund」投資家情報 https://initial.inc/investors/V11736
13. スピーダ「Playco、セコイアなどから100億円の大型調達」(2020年) https://initial.inc/articles/playco-funding
14. 金融庁「令和8年度税制改正要望:外国組合員に対する課税の特例の見直し」(2025年8月) https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/request/fsa/08y_fsa_k_20.pdf
15. 時事通信「資産運用特区に4地域 北海道、東京、大阪、福岡を指定」(2024年6月) https://sp.m.jiji.com/english/show/33393
16. 野村総合研究所 木内登英「資産運用特区」に関するコラム(2024年6月) https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2024/fis/kiuchi/0606
17. gamebiz「24年の国内ゲームコンテンツ市場規模は前年比3.4%増の2兆3961億円【ファミ通ゲーム白書2025】」(2025年) https://gamebiz.jp/news/410304
18. Señal News「Video games revenues reached $54 billion in the USA」(2024年3月) https://senalnews.com/en/digital/video-games-revenues-reached-54-billion-in-the-usa
19. The Hollywood Reporter「Game Awards 2024 winners list」(2024年12月) https://www.hollywoodreporter.com/business/digital/game-awards-winners-list-astro-bot-1236086029/
20. File 770「D.I.C.E. Awards」 https://file770.com/tag/d-i-c-e-awards/
21. AUTOMATON「Almost 80% of Japanese game developers say their annual income has increased in the past year, according to CEDEC survey report」 https://automaton-media.com/en/news/almost-80-of-japanese-game-developers-say-their-annual-income-has-increased-in-the-past-year-according-to-cedec-survey-report/
22. 米連邦準備制度理事会(FRED)「Japanese Yen to U.S. Dollar Spot Exchange Rate」 https://fred.stlouisfed.org/graph?g=eRgh




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