「エンタメ」を「サイエンス」へ。EnFiが実践するゲーム投資のデューデリジェンス
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- 3 時間前
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「感性」を「論理」へ。投資対象としてのエンタメの再定義
長らく、ゲーム産業は金融の世界において「ブラックボックス」と見なされてきました。クリエイティブな直感に依存し、ヒットの有無で成否が決まる不確実なビジネス――そんな既成概念が投資家の参入を阻んできた側面は否定できません。しかし、デジタルトランスフォーメーションが加速する今、ゲームは単なる娯楽の枠を超え、テクノロジー革新の最前線へと躍り出ました。
今回のインタビューで、EnFiのファウンディング・パートナーである垣屋様は、その「エンタメ投資」の常識に一石を投じています。ゲームを「最新技術が最初に搭載されるITプロダクト」と再定義し、チームの構成資産やグローバルなネットワークを数字化する。その徹底した「サイエンス」の姿勢は、エンターテインメントを確かなアセットクラス(投資資産)へと昇華させるための挑戦でもあります。
熱狂を熱狂のまま終わらせず、ファイナンスの言語で解読する。EnFiが描く「エンタメ×金融」の融合は、これからのデジタル経済における新たな投資のスタンダードを示唆していると言えるでしょう。
デジタル成長の中心地としてのゲーム、そしてEnFiの役割
まず、投資家が今、ゲーム産業に注目すべき最大の理由を教えてください。
今、エンターテインメントの成長はすべてデジタルの中にあります。ゲームは単なる遊びではなく、映画などの既存メディアを飲み込みながら拡大する、デジタル経済の「中心地」です。
私がこの業界でキャリアをスタートした頃から、ゲームは常に新しい技術をいち早く取り込み、新しい基準を作ってきました。この広大な市場をサポートし、さらに大きくするために、私は「投資」という形での貢献を選びました。EnFiの使命は、エンタメとノンエンタメを繋ぐ存在になることです。ゲーム発の技術や熱狂を、金融や他の産業と結びつける架け橋でありたいと考えています。
グローバルな「視点」をアセットにするFoFの必然性
EnFiの強みである「グローバルなVCネットワーク」は、投資判断にどう活かされていますか?
私たちは北米、欧州、アジアなど、世界中のVCと対話を続けています。この「多極的な視点」そのものが、我々の最大のアセット(資産)です。
世界中を見渡すと、グローバルトレンドやVCの動向が手に取るようにわかります。特にシード期のファンドを多くカバーしているため、「次に何が来るのか」という業界の変化を、どこよりも早く察知できるのです。
直接投資ではなく、あえてFoF(ファンド・オブ・ファンズ)という形態をとる理由は?
正直に言えば、100%当たるなら直接投資が一番リターンは大きいです。しかし、現実にはそれは極めて難しい。だからこそ、FoFによってリスクを適切に分配し、全世界のチャンスを網羅することに価値があるのです。一箇所に賭けるのではなく、世界全体の成長をポートフォリオに組み込む。これが、投資家に対する誠実な答えだと考えています。
「誰に預けるか」を徹底的に問う
具体的な選定基準について伺います。個別のゲームよりも「ファンドマネージャー」を重視されている
そうですね。
はい。EnFiは「私たちがゲームを選ぶ」のではなく、「優れた投資基準を持つファンドマネージャーを選ぶ」ことに集中しています。特にシード期の投資では、「何に投資するか」と同じくらい「どうサポートするか」が重要です。
例えば、提携先であるフィンランドのSisu Partnersはフィンランドを拠点にしながら、米国市場など強いグローバルアクセスを保有しており投資先をグローバル市場につなぐ実力がありますし、Transcendは投資後のポートフォリオ企業の資金調達のサポートなどが手厚いです。ゲームは最初からグローバル展開が前提です。ですから、投資の目利きだけでなく、「そのマネージャーは、スタジオを世界で活躍させるためのネットワークを持っているか」も厳格に見ています。
DD(デューデリジェンス)において、警戒する「レッドフラッグ」はありますか?
ゲームは最先端技術が使われる業界ですから、技術トレンドが採用されるホットな業界として「たまたま」ゲーム投資を行っているのか、ゲーム投資にコミットしているのか、というファンドマネージャーの本質の部分は注意深く見ています。
結局、トレンドを追うだけでなく、ゲーム投資にコミットしていないと、一貫性のない投資になりますし、シードからポートフォリオ企業が成長する段階でのサポートなどが難しくなると思います。
特に今はAIに投資マネーが集まっている中で、「ゲームの中でもAI関連に投資をする」というゲームファンドが増えています。それはもちろん問題ないことですが、AIがゲームの中で活きる未来を見据えているのか、ビジョンなくトレンドだからAIと言っているのか、でその後の投資活動は変わると思っており、そのあたりも注意深くチェックしています。
ゲームを「最新技術が搭載される一番最初のITプロダクト」として再定義する
感性の世界であるゲームを、どうロジックと数字化に落とし込むのでしょうか?
2015年頃からゲーム特化型のVCが増え、データに基づいた投資が現実のものとなりました。私はゲームを「最新技術が搭載される一番最初のITプロダクト」だと考えています。
例えば、今当たり前にある「オンラインチャット」も、元々はゲームの中から生まれ、ノンゲームの領域(ビジネスチャットなど)へ広がりました。携帯電話の前に、携帯ゲームが普及もしています。現在ゲームスタートアップ業界で注目されているAIネイティブ開発チームには、単なるゲームスタジオ以上の価値があります。
「ゲームプレイが面白いか」だけでなく、「そのチームの技術や構成に既存概念を変える価値があるか」。そこを数字化し、チームの構成資産を見ることで、感性が重視されているように見える業界もロジックや数字に落とし込むことが可能です。
まさにエンタメを「サイエンス」する感じですね。投資家には、どのような「約束」を込められていますか?
「エンタメを、数字化された安心できる投資対象として見ていいですよ」という約束です。単なるコンテンツの当たり外れではなく、最先端技術を取り入れた開発を行う「チームの価値」を見極める。心配せずにこの成長産業に乗っていただけるよう、ロジックで裏付けをするのが我々の役割です。
エンタメとファイナンスの融合
最後に、投資家の方々へメッセージをお願いします。
EnFiという社名は、「Entertainment(エンタメ)」と「Finance(ファイナンス)」を組み合わせたものです。その名の通り、私たちは両者を繋げるために存在しています。
これまで培ってきたネットワークを活かし、エンタメの最前線に参画しながら、投資家の皆様の積極的なサポートを行っていきます。共にこのダイナミックな市場を大きくしていきましょう。
エンターテインメントとファイナンスの真の融合へ
ゲームが「一過性の娯楽」から「グローバル経済のエンジン」へと変貌を遂げた事実は、もはや疑いようがありません。しかし、この複雑な市場を勝ち抜くためには、単なる資金力以上のもの――すなわち、一時の流行(ハイプ)と持続的な技術価値を見極める「専門的な眼力」が求められます。
EnFiが実践する「サイエンス」としての投資哲学は、エンタメ特有のボラティリティ(変動性)が、緻密なデータとグローバルなネットワーク、そして規律あるFoF戦略によってコントロール可能であることを証明しています。ゲームを「次世代IT技術のインキュベーター」と捉えるEnFiの視点は、単にコンテンツに投資するのではなく、未来のデジタル経済のインフラそのものに投資していると言っても過言ではありません。
「熱狂」を「確実な資産」へと昇華させるEnFiの挑戦は、投資家にとって、エンターテインメントという広大な未開拓地へ踏み出すための、最も信頼に足る指針となるはずです。




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